帰国して10年が経ちました

気がつけば先週で帰国してから10年が経ちました。
2008年の10月末に帰国。
その当時はアメリカが蠢いて(うごめいて)いた時期です。
オバマさんが大統領になるかどうか?という時でした。

黒人初の大統領ということで、黒人が多く住むニューヨークのハーレムの生映像を交えたニュースを見た11月頭。


それから毎年この時期になると、アメリカから帰って◯年かぁ、、、と年末年始のようにその1一年を振り返りそして心を改めて次の1年に繋げるようになりました。


しかし、それが5年も位経つと、心情に変化が現れてきました。
あまり感傷的にならなくなってきました。
それまでは何かニューヨークに何かを置いてきたような気持ちになっていましたが、「ニューヨークが全てではない」という思いに変わってきました。
大げさな言い方をすれば、「ニューヨークで一旗あげる事」が全てではない事が、帰国して数年してからようやく気がつきました。(そもそもそんな器量はないのに大いなる勘違いをしていた節も自覚しています)

どこにいても自分は何者かを追求する事、 誰かの生き様を(音楽を)真似ることではなく、他人に嫉妬せず自分の人生の生きる事(人の人生を生きないこと)、それが全てだと思い、またその事を年々冷静に自分に実直に感じて実行できてきたと思います。


それでもやはりニューヨークの音楽、音楽文化は別物かなと思います。
なぜならそこでしか手に入らないことが沢山あるからです。

いくらYouTubeやインターネットで様々で音源や情報を手に入れられたとしても、実際に触れて質感を肌で感じることはできません。音楽に限らず人生に記憶されていることは、その時の情景や心情や匂い、五感で体に切り刻まれています。




ここ最近はテレビをつけたら、やたらとニューヨーク特集をしているように感じます。
たまにあります。各局で同じ国を取り上げることが続くことが。
それでスリランカに行ったりモロッコに行ったりしました。
何か呼ばれているような感覚で。
話をニューヨークに戻しますが、今朝も流れていて、そこで感じたのは「何かを置いてきた」感覚が蘇り、今でも「気にしている」自分がいることに驚いたと同時にそれが嬉しくも感じました。
なんでしょうね?まだまだ気持ちはフレッシュなのかな。
でも、ニューヨークで挑戦するということではなく、今は自分のやりたいことを全うしたい気持ちです。それがニューヨークであろうとどこであろうと。


ちょっとそんな気持ちになっていた矢先に、自分の音楽人生で特別な存在であり、ジャズ界のカリスマであるロイ・ハーグローブが49歳という若さで亡くなったニュースを見て呆然としております。ロイと一緒にセッションしたことが、この10年間色褪せることなく、それこそ今でもずっと五感に切り刻まれています。管楽器の音ってこういう音なんだと、自分の出すべき音を示唆してくれているような感覚があります。
この消えることのない感覚をもってまた次のステップに、次の5年10年、そんな先より1日1日一歩でも先に進むように真摯に音楽を続けていきたいです。

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